過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第21章 口説く!
「わ、私は・・・、私の中では彼はまだ生きているから・・・・」
「ふぅん、そうか・・・・好きなのは『男』だったんだね」
「!!」
・・・自分から墓穴を掘ってしまった。
物知り顔をしているエルヴィンにまんまと情報を引き出され、
頭が恐慌状態に陥った。
このままでは、マズイ。
何とか話題を軌道修正しなければ・・・・。
「調査兵団云々の件だが、私には無理だ。
その理由もちゃんとある」
「是非聞きたいな」
「私は虚弱体質で、軍の訓練に耐えられぬ」
これはある意味本当の事だ。
長期間この世界に留まることが出来ず、
身体は死んでしまう。
身体が弱いと告げると、
意外な理由だったのかエルヴィンは目を瞬かせた。
「弱い・・・?病弱という事かな?ならば良い医者を紹介しよう。
シーナにいる名医なんだが・・・」
「医者には治せない」
そう告げた瞬間、席を立ったエルヴィンは険しい表情で
ナナシの傍に膝を付き、覗き込むように見つめてきた。