過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第21章 口説く!
「・・・・・うん?お主の言っている意味がよくわからない」
「おかしいな、これでも伝わらないとは・・・。
一応プロポーズしているつもりなんだが、まぁ良い。
つまりは君を愛し過ぎていて、片時も離れたくないという事だよ」
「・・・・・・・・・あぁ、そうか、成程・・・・」
流れがおかしい・・・。
やはりこの男が何を考えているか、さっぱりわからない。
「返事は?」
「え?へ、返事?」
「そう、今すぐ返事を聞きたい」
「え・・・っと、謹んで・・・お断りします?」
敬語で答えたのに不満そうな顔をされ、
何に怒っているのかと不思議に思った。
「その理由も聞きたいんだが・・・」
「・・・私には好きな人がいるから・・・・・」
ずっと昔から変わらない想いだったので言葉にするのは
今更だと思ったが、そういえば彼には言っていなかったかもと思い、
ちゃんと言い直した。
「私には愛する人がいるから、お主の想いには応えられぬ」
また不満そうな顔をされるかな、と思ったが、
意外にもエルヴィンは唇に微笑を乗せた。
「知っているよ、君に好きな人がいるって。
・・・でもその人は今生きているのかい?」
「・・・・っ!」
「生きているなら諦めもつくんだけどね。
残念ながら死人相手だったら私は諦めきれないよ」
「・・・そ・・・れは・・・」
上手く誤魔化せれば良かったものを、
不意を突かれて言い淀んでしまい俯く。
握られている手からじんわりとエルヴィンの暖かい体温が伝わってきて、
死者と生者の違いを教えられているようだった。