過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第21章 口説く!
「お腹空いてないか?私達もまだなんだ。
君の分も買ってきたから一緒に食べよう」
そう言うとエルヴィンは手に持っていた紙袋を持ち上げ、
庭先から家に上がり込んできた。
リヴァイもそれに続き、物珍しげに室内を見渡す。
「・・・そこに座ってろ。今、茶を淹れる」
押し問答も面倒になりテーブル席を二人に勧めると、
ナナシはお茶を淹れ始めた。
茶器を温め、ポッドに茶葉とお湯を注ぎテーブルへ置くと、
エルヴィンとリヴァイは珍しい茶を興味深げに見つめた。
「綺麗なお茶だね。なんと言うんだい?」
「・・・花茶の一種だ。疲れが取れるように特別に
ブレンドしたもので、結構貴重なものだぞ」
「それは楽しみだ」
ガラスの中で徐々に花が開く様は人間の目を楽しませる。
ポッドから茶器へお茶を注ぐと部屋の中に甘い香りが立ち込めた。
無言の中、三人でお茶を啜りながら
エルヴィンの買ってきたサンドウィッチも頬張る。
話があるなら、とっとと話してさっさと帰れと思ったが、
口を開くのも億劫だったのでそのまま放置した。
やがてサンドウィッチを食べ終わると、
今まで黙っていたリヴァイがポツリと零す。
「・・・美味い茶だな」
「・・・おかわりいるか?」
「貰おう」
「では、私にも頂けるかな?」
二人にお茶を淹れ、また沈黙が訪れるかと思ったら
やっとエルヴィンが話を切り出してきた。