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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第20章 帰還への攻防




リヴァイとハンジが互いに目配せして頷くと、
「わかった」と了承する。


ナナシが両手に構えていた黒い刃を思い切り振ると
鞭のように刃が伸び、不規則な動きで巨人の足を襲った

一太刀で巨人の足を削ぎ落とすナナシの勢いに乗り、
リヴァイとハンジは作戦通り動きを封じられた巨人の項を
削いでいった。


三人の連携を見て、他の兵士も巨人の項を削ぐ作業に加わり、
何とか巨人の足止めに成功していたが
それでも押し返すことは出来ずにいる。

刃の切れ味が悪くなったせいで一発で仕留める事が難しくなり、
補給のため離脱する兵士が多くなり始めた。

一旦補給のため離脱すれば暫くは帰ってこられない。


「ガスと刃の残量は?」

「刃の替えがもう無ぇ。ガスはまだ大丈夫そうだが、
そろそろ打ち止めだ」

「同じく!」


今リヴァイとハンジに抜けられてしまったら、
ここを死守出来ないとナナシは思案する。


あと少し持ち堪えれば、全部の兵士を収容出来るだろう。

ちらりと二人のスナップブレードに視線をやれば刃こぼれが酷く、
これでは斬れないと思った。

だが、逆に言えば切れ味さえ何とかなれば、まだ使えるという事だ。


「切れ味さえ何とかなれば、あと少し耐えられそうか?」

「何か秘策でもあるの?」


切れ味を格段に向上させる方法なら、と言うと
今度は迷いなく「任せる」と返された。

まだ立体機動装置が発明される前の・・・
『迅鬼狼』で使われていた方法だ。

二人に刃を交差させると、ナナシ自身の刃をそれに重ねる。


『柔剣』と呼ばれたその方法は刃を超振動させるもので、
普通の人間の身体では使っていられない技だが、
誰かからの共振で受け取るという形なら彼らでも耐えられるだろう。



「切れ味は上がるが、その分腕への負担も大きい。
気をつけてくれ」

「・・・何か手がビリビリしてない?」

「行くぞ、ハンジ」




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