過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第20章 帰還への攻防
「モブリット、状況は?どれくらい兵を収容出来た?」
「は、はい。5割は収容出来たかと・・・。
如何せん自分では命令を聞いてくれる駐屯兵団が少なく、
作業が難航しています」
「そうか、ご苦労だった。私が指揮を執ろう」
「ありがとうございます!」
やれやれと肩を竦めながら、壁外に戻ろうとするナナシに
「戻るのか?」とエルヴィンは声を掛ける。
「致し方あるまい。巨人を足止めする人材が少なすぎる。
面倒だが、私にも責任があるからな」
責任・・・それはピクシスが書簡で伝えてきた
駐屯兵団の支援が受けられていない現状の事だろう。
別に彼が責任を負う必要はないと思ったが、
今ここで貴重な戦力に退かれてしまっては大変だ。
「・・・無理はするな」
「わかっておるわ」
壁を飛び降りたナナシを確認すると、
エルヴィンは回収班の指揮を執るべく歩き出した。