過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第18章 『迅鬼狼』のアジト
「君は・・・・やはり止める方法を知っていたんじゃないか・・・」
疲れたような声を出すエルヴィンを見下ろしながら、
ナナシは首を横に振る。
「本当に知らなかった。・・・だが、この後の展開には想像がつく」
「おいおい、まだ何か起こるってのか?」
「何か嫌な予感がするんだけど・・・」
「・・・・はぁ~・・・」
「是非教えてもらいたい。後悔する前に対処を考える」
4人はまだ怪奇現象が続くのかとげんなりした表情で
ナナシに顔を向けた。
色々とヤバイ場所へ足を踏み入れたのかもしれない、と今更ながら思う。
「夜明けと共にこの地下は無くなる・・・最悪、我らは生き埋めだな」
「リヴァイとミケはナナバと協力して物資を外に運び出してくれ。
運び出したらネス達に連絡し持って行ってもらおう。
私とハンジはこのまま残った本を暗記する作業をする」
ナナシの言葉を聞いた瞬間、
絶望線を浮かべたエルヴィンは声高に指示を出し、
本を読み漁り始めた。
指示を受けたリヴァイ達も物資を次々運び出す。
こんな所で生き埋めなんて御免だ。
自分達にはまだやるべきことがあるのだ。
急いで本を捲り頭に叩き込もうとするが、
如何せん文字が欠けている部分が多いので解読に時間を要してしまう。
今エルヴィンが読んでいるのは対巨人用と思われる兵法書で、
つい時間を忘れそうになるほど本にのめり込んだ。