過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第16章 強行軍の帰還
調査兵団がウォール・ローゼへ帰還するために出発する。
野営地にする街を目指し馬を走らせていると、
赤の信煙弾が次々上がり隊列の中央から進路変更の信煙弾が発射された。
進路変更した一団は上手く巨人を躱せたようだ。
「ほぅ、実際見ると圧巻だな。天気が良ければ信煙弾は見やすい」
「呑気な事言ってんじゃねぇ。取りこぼしもある」
リヴァイがそう言った瞬間、
後方から赤い信煙弾が上がり、リヴァイ班に緊張が走った。
全員後ろを振り返り、数体の巨人を確認する。
「何だ、あれ・・・早い!」
「まずいな、すぐに追いつかれるぞ」
「兵長!どうしますか?」
予想以上に早いスピードで迫ってくる巨人に
グンタ、エルド、ペトラが声を上げると
リヴァイは舌打ちしながら「応戦」の指示を出した。
だが、次に発せられたオルオの言葉に全員が息を呑む羽目になる。
「兵長!巨人が左右からも来ます!全部で・・・10体!」
「クソが・・・っ!」
ギリッと歯を噛み締めたリヴァイはどうするか逡巡する。
応戦しなければやられるだけなので、そこに迷いはない。
問題は、どの巨人から倒すかだ。
効率良く倒さなければ此方がやられた上突破され、
本隊に甚大な被害が出るのは目に見えている。
足の早い巨人は左右後方にそれぞれいるので、
班を分けて時間稼ぎをするしかないと腹を括り
2人ずつ左右に展開させ後方の巨人はリヴァイ一人で
相手をすることにした。