過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第16章 強行軍の帰還
「俺達の役目は巨人と遭遇した場合、
前列を逃がすための囮だ。出来るだけ交戦は避けろ。
ガスが足りなくなる」
淡々とリヴァイがそう告げると、
我に返った部下達が勢い良く返事をする。
リヴァイの話を黙って聞いていたナナシは、
どう考えても危険な場所に配置されたとしか思えず、
あの金髪小童は何を考えているのだろうかと
心中で舌打ちした。
事実、エルヴィンは一番危険な班にナナシを配置したのだけれども・・・。
「・・・小僧、そんな危険な班に投入された私はどうすれば良いのだ?」
「てめぇは、逃げて構わねぇよ。
俺は立体機動歴三ヶ月の素人を使おうとは考えてねぇ」
ナナシの言葉にリヴァイ班の4人はギョッとした。
今、こいつ兵長を小僧って言ったっ!?
つーか、兵長も気分害した様子もなく普通に接してるって、どういう事!?
立体機動歴三ヶ月って新兵以下じゃねぇか!
本当にこいつが単独で来たのかっ!?
様々な葛藤がリヴァイ班の脳内を巡ったが、
リヴァイが信用しているなら自分達も信用するしかないと判断し
口を噤む。
悶々とした思いを抱えながら自己紹介をしたリヴァイ班は
任務に就くことになった。