過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第14章 調査兵団の危機
「突然すまぬな。騒げばお主の首を掻き切るぞ?」
「・・・っ!誰だ!?まさか・・・扉を破壊したヤツか!?」
身動ぐ身体を更に抑え付け、ナナシはそれを否定した。
「違う。こんなことしておいて何だが、それは無い。
それよりもお主に問いたい。」
「・・・何を・・・」
「調査兵団を助けたいか?」
「当たり前です!自分は今すぐにでも壁の外へ行って、この事を伝えたい!」
青年の即答にナナシは嘘が無いと判断し、
拘束を解いてナイフを仕舞った。
突然拘束が解かれたことに青年は怪訝な表情でナナシを見遣る。
「すまぬ。今は非常時故こんなやり方をして試した。
お主は信用出来そうだと判断したから率直に言うが、
お主では仲間に辿り着く前に巨人に食われるであろう」
「・・・っ!そ、それは…確かに自分は幹部の皆さんと違って
腕は立たないですけど・・・・だからって、
ここで待っていることなど出来ません!
それに誰かもわからないあなたにそんな事言われたくもありません」
「そうだな・・・。調査兵団の実力を私は知らぬ。
今壁内に残っている調査兵団の中でお主より腕が立ち、
尚且つ単独で仲間の元へ行こうとする奴はおるか?」
「・・・・・・・気概のある兵士なら沢山・・・」
「気概だけでは足りぬ。巨人と単独で渡り合える兵士の所在は?」
「兵長じゃないんですから、単独で巨人討伐出来る兵士は・・・・
今壁内にいません」
「そうか、わかった」
「・・・・・あ、あの・・・っ!」
青年が意を決したように口を開こうとしたが、ナナシの言葉に
それが遮られた。
「ならば、私が行く」
「・・・・・・・・・・・・・は?」
驚愕で目を見開く青年の反応を無視し、ナナシは話を進めた。
「一人ならこっそり馬も向こう側へ降ろせよう。
お主には馬と調査兵団の装備一式を内密に用意してもらいたい」
「ちょ、ちょっと待って下さい!あなた兵士なんですか?
というか、何者なんですか!?」