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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第2章 金髪碧眼の少年



「父が…死にまして…」
「……………」


子供からまた話をしてくれたが、
何ともリアクションし辛い話題だった……。

在り来りに「気の毒に」とか言うべきなのだろうか?

だが、待て。
それで何故憲兵に追われていたのだ?


「あなたは軍人ですか?」
「いや、軍人ではない…な」


嘘ではない。
今まで軍人になった事は無かったはずだ。
ただ愛しい団長に従っただけで…。


「失礼ですが…」
「?」


そう言うと子供はマジマジと私の頭から爪先をじっくり見て尋ねた。


「あなたは女性…ですか?」
「・・・・・・・・・・・・うん?」
「中性的なので、どちらか気になりまして…」


子供は酷く残酷で無邪気だ。
こういう話題は普通の人間だったらきっと不愉快になっているだろう。

自分の容姿は男としては小柄で童顔、
女としてはやや丸みが少なく色気に欠ける。

ぶっちゃけ自分には性別がない。
男でもあるし女でもあって、
そのどちらでもなくその時々により使い分けられた。
確か今は……


「…女だったかな?」


疑問形で答えると、その子供は初めて可笑しそうに笑った。
そういう顔をしていれば良いのに勿体無いと素直に思う。
きっちり前髪を分けた金髪に青い目の子供はとても整った顔立ちをしているのだ。
きっと将来はかなりのイケメンになるだろう。


クスクス笑う子供の頭をそっと撫でると、
彼はビクリと身体を震わせキョトンとした表情で私を見つめた。


「笑え、小童。お主にはそっちの方が似合う。酷な話だが、泣いたとて哀しみは消えぬし己の弱さを自覚するだけだ」


その言葉に子供は唇を噛み締める。


「だが、笑顔は良いぞ。時として武器になる。相手の警戒心を無くしてくれるし……それに…」

「…それに?」

「どれだけ冷酷無比になり感情を殺しても、自分がまだ普通の人間のように思えるそうだ。…私の大切な人はそう言った」

愛しい団長から教わった言葉を子供に告げると、
子供は何かを考え始めたようでじっと私の顔を見つめたまま動かなくなった。
暫くして子供はおずおずと口を開く。


「…俺の父は、殺されました。俺のせいで死んだんです。それでも笑え、と?」
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