過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第13章 重すぎる愛の告白
「・・・という事があってね。私としては凡人とは違うあり方で
彼を愛しているのだと表現したかったんだ。
彼も私の愛の深さに感極まって走り出してしまってね。
追いかけたんだけど、全く追いつけなかった。
赤面した顔を私に見られるのが恥ずかしかったのかな?
まぁ、灯台下暗しで調査兵団に来てくれているとは思わなかったのが
私の誤算だったよ」
いや、それ全然感極まってないよ!
あまりにも恐くて逃げ出しちゃったんだよねっ!?と
恋愛に疎いハンジまで心の中でツッコミを入れる。
あくまで心の中で、だ。
口に出したら命が危ない。
「・・・ハンジ、君はこの告白をどう思う?女性として」
うん、ナナシは男の子なんだよね?
何でそこで私に話を振るのかな?
つーか、こういう時だけ女扱いかよ、調子良いなー・・・
「・・・・・・重い・・・」
「ハンジ!」
ミケの咄嗟の制止でハンジは感想を軌道修正させる。
「ココマデ貴方二愛サレテシマッタラ、
時間ガ欲シイト思ウヨ?心ノ整理ッテヤツ?」
若干片言気味になってしまったハンジを誰も責められない。
むしろ、変質的に告白した目の前の男が悪いのだ。
器用そうに見えて、恋愛では壊滅的なエルヴィンに
三人は同情の眼差しを向けるしか無い。
何故、ここまで人格破綻を起こしてしまったのだろうか。
そちらの過程の方が気にな・・・るけど、知りたくない!
恐い!
開けてはいけない扉を開いてしまいそうで恐い!
研究者として探究心が無くなったらお終いだとは思うけれど、
この扉だけは開けてはいけない気がする!
「壁外調査から戻ったら、ナナシを正式に調査兵団に入団させるよ。
その時は色々と彼の相談に乗ってくれ」
にこりと爽やかな笑顔で告げてきたエルヴィンの言葉に三人は
苦い顔をする。
「それ・・・ナナシって子は納得しているの?」
ポツリと零したハンジにエルヴィンは更に綺麗な笑顔を向け
言い放った。