第8章 上皇水尾×御門
「んっんっんっ…い…また…逝き…」
その時、襖を破って
刃物が部屋に飛び込んできて…
それは鏡に命中した。
パリ……ン…!
鏡が割れると…
水尾が目を見開き
弾かれたように瑠璃から離れた。
まだゆっくりと揺れる御門の上で
私も離れなきゃ…と瑠璃が
鏡の方向に目をやると…
風に揺れる懐かしい白い羽織り…
橙色の柔らかい髪から覗く優しい瞳は…
「…火影?!」
火影は無表情で瑠璃の手を引っ張り
御門から離すと
瑠璃の身体を着物で包み横抱きにした。
「瑠璃さま…遅くなってごめん。
全て鏡のせいだから…
瑠璃さまは悪くない。」
そう言うと、瑠璃を抱いたまま
二人の前から風のように消えた。