第8章 上皇水尾×御門
陰陽師かぁ…今まで御門としか
接したことなかったけど…
御門はそこにいるだけで
不思議な空気をまとっていて
只者では無い感じがしたな…
ふと、御門の紺碧の瞳を思い出す。
御門って…際どいことばかり言うけど
どこまで本気かわからなかったな。
いつも本心を隠して…
そういえば最後に会った時は
突然抱きしめられて
私は特別だって言ってくれてたけど…
御門にも会うことになるのかな。
御門の冷たい体温を思い出し
思わず頬が熱くなったのを感じて
首を振る。
それにしても…
あの人たちには不思議な力を
全然感じなかった。
この鏡には何かあるような
気もするけど…
鏡を懐にしまったものの
情欲をはねのける…
などという話を本気で信じたみたいで
麻兎にはなんとなく報告しづらいまま
京へ着いてしまった瑠璃だった。
そして今、一人休む瑠璃の寝所へ
突然水尾が訪れていた…
麻兎は偵察に行っていて不在だ。
「おい、瑠璃。
久しぶりに会えたっていうのに
随分つれねぇなあ…
挨拶も出来ねえほど体調が悪いのか。」
顎を掴まれ上を向かされると
獣を狙うような鋭い瞳に捉えられ
目が離せない…