第8章 上皇水尾×御門
夜になり…
宿屋で瑠璃が一人休んでいると
来客があった。
朝廷に仕える陰陽師たちだという。
「水尾さまからの使者ならば
いつもなら御門のはずだが…
それに京は目前だというのに
こんな刻限にわざわざ何の用がある。」
瑠璃は上様として問いただした。
「私どもは上様が意に添わない祝言を
あげるのだと知っております。
水尾さまにお仕えする身でありながら
差し出がましいとは思うのですが…
上様に同情申し上げているのです。」
そう言うと布に包まれた古びた鏡を
差し出し、恭しく掲げた。
「水尾さまとお二人きりになった時
こちらの鏡を出せば…
上様のお力になること間違い
ございません。」
「力だと…?」
「人の情欲を跳ね返す
不思議な鏡なのです…」
瑠璃は半信半疑だったが
受け取っておくことにしたのだった…