第8章 上皇水尾×御門
「…祝言はいつ…ですか?」
この江戸城で上様として生きていくって
やっと決心ついたのに…
心の準備をする時間が欲しいよ。
一年とは言わないからせめて…
「明後日
朝廷から迎えが来るそうだ。」
「あ、明後日?!」
「なに…逆にこちらも朝廷の秘密を
握れないか今探らせているところだ。
京に移っても、祝言まで
最低でも数日あるだろう。
その時までになんとか…」
春日局の苦し気な表情を見て、
その気持ちがわかる麻兎は
それ以上何も言わず
しばらく何かを考えていたが…
「俺も朝廷の秘密を探る。
水尾さんには昔たっぷり
世話になったからな。
痛そうなところの目星もつく。」
麻兎の申し出は春日局さまにとって
想定内だったらしく、今日初めて
満足そうなお顔をして笑った。
「お前が動いてくれるなら心強い。
京までは瑠璃をしっかり護衛し
朝廷に瑠璃を預けてからは
一刻も早く証拠を見つけ出すのだ。」
「任せておけ。」