第8章 上皇水尾×御門
麻兎って………
お花嫌いなのかな。
それにしても急用ってなんだろう?
春日局さまの部屋に着き
お顔を見ると嫌な予感がした。
いつもの余裕が無いみたい…
「実は朝廷から…
とんでもない要求をされた。
今のところ従う以外に手立ては無い。」
「と、とんでもないって…」
「瑠璃…いや上様には、上皇水尾さまと
祝言をあげていただく。」
「えぇっ?!」
瑠璃はもちろん驚いて大きな声を
出したが、さすがの麻兎も
部屋の隅で思わず一人で
立ち上がってしまうほど驚いていた。
言葉も出ない瑠璃の代わりと
ばかりに麻兎は声を荒げた。
「祝言って…どういうことだ?!
また何か幕府の弱みでも握られたか?」
「私とて本意では無い。
だが今のところどうにも避けられん…
水尾さまはもともと影武者である瑠璃に
興味を持たれてはいたが…
大方、家光さま崩御の話が耳に入り、
上様になることを受け入れた貴女に
さらに興味を惹かれているのだろう。」