第7章 九条
「失礼いたします。
…家光でございます。」
「…入れ。」
久しぶりに見る日向さまは
あ…思ったよりお元気そう。
「この度はご愁傷様でございます。
あと…っ…申し訳ございません!
私みたいな者が…」
「いや…瑠璃といったな?
謝るのはこちらの方だ…
幕府のわがままを聞いてもらって
すまないな。」
日向さまはとても優しくて、
家光さまの想い出話をして下さり
最後にはまた来てくれとまで
言ってくれた。
良かった…
妹さんを亡くされた寂しさを
私で少しでも埋められるなら…
何度でもお伺いしよう。
ホッとして瑠璃は部屋を後にした。