第7章 九条
「麻兎…今から日向さまのお部屋に
行くだけだから、もう行っていいよ。」
夜伽の話とか…
麻兎に聞かれるのは
やっぱりちょっと嫌だな…
麻兎は何にも思ってないかも
しれないけど。
「瑠璃、明日の夜伽の相手はもう…
………いや、何でもない。」
麻兎は言い淀むと行ってしまった。
どうしたのかな…?
とりあえず日向さまのお部屋に行こう。
日向さまか…
一度療養先にお見舞いに行った時
私を影武者だと知らずに
とても仲良くしてくださって…
穏やかそうでとても素敵な方だった。
あの時の妹君が実は影武者で。
今は亡くなった上様の代わりに
その席に座ってるなんて…
お嫌だろうな。
肉親を亡くされただけでも
お気の毒なのに…