第6章 麻兎
数日後、瑠璃は護衛団に守られながら
駕籠に乗って江戸城を出た。
火影が居なくなってしまってから
この人たちが護衛してくれて…
その間、ずっとお城から出なかった
とはいえ何も問題は起きなかったし…
みんな体が大きくて強そうな
人たちだもの。大丈夫だよね…
しかし、瑠璃のその期待は
見事に裏切られることになる。
江戸を出立してほんの数刻後…
数人の賊に瑠璃の駕籠は襲われ、
護衛団の男たちは一人残らず
駕籠の周りで意識を失っていた。
「何奴だ!」
威勢のいい振りだけしてみたが
瑠璃は軽々と担がれ、森の中へと
男たちに拐われていった。
目隠しをされ、
両手両足を縛られ馬に乗せられると
ものすごい速さで走りだす。
しばらく恐怖で震えていたが、
瑠璃はいつしか意識を失っていた。
そして目を覚ますと…
そこはどこかの山中の庵だった。