第4章 鷹司
瑠璃の様子を見ていると、虚ろな瞳で
小さな鈴のような物を鳴らしている。
チリン…チリン…
やべ…こいつこんな色っぽかったっけ。
「…家光。」
「…鷹司。
…鷹司もそうやって呼ぶんだね。
当たり前か…私は上様なんだから。」
「大丈夫か?」
「ん…ちょっとね、寂しいなと思って。
この鈴、火影がくれたんだけど…
困った時に鳴らすようにって。」
「あぁ、そういえば火影は暇を
貰ったんだってな。
…お前と何かあったのか?」
「え?!…ううん…何もないよ。
ただ、こうして鈴を鳴らしても来て
くれないのって初めてだから…
ほんとに遠くに行ってしまったんだ
なって。私があんな…」
そこまで言って瑠璃は黙ってしまった。
「あの、さ…夜伽のこと聞いたよ。
で、明日の総触れで俺を指名する
ことになったらしいけど…聞いたか?」
瑠璃は真っ赤になって
首をぶるんぶるんと振った。