第15章 最終章〜sweet&sweet1〜
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夜になって…
私は一人天守閣へ来ていた。
本当なら夜伽の時間だけれど…
夏津が春日局様に申し出てくれて
私の最後の夜伽は中止になったのだ。
「話ならここでもできるだろうが。
余計な時間使わせるな…
前にも言っただろ?
夜伽なんて燃えねえんだ。」
庭先でぶっきらぼうに話した夏津。
でもあれは本当は
夏津の優しさじゃないのかな…
そう思って思わず涙ぐみそうになった
私の頭をくしゃくしゃと撫で
「お人好しはいい加減返上して
早く幸せになれよ。」
と言って夏津は去って行った…
夏津、ありがとう。私は…
今から火影に気持ちを伝えるよ。
だって、火影にもう会えなく
なるなんて考えられない。
もう遅すぎるのかもしれないけど
この気持ちだけは伝えたい…
私は袖口から、二人にとって特別な、
あの懐かしい小さな鈴を出して、
チリンチリン…と鳴らした。