第15章 最終章〜sweet&sweet1〜
いつも怜悧な笑みを浮かべ
お一人で何でも決めてしまわれる。
私は春日局様のことを、
迷いなど無い完璧な人だと思って
どこか恐れに近い気持ちを
持ってきたけど…
今、目の前で揺れているのは
愛しいものを見つめる様な…瞳…?
「瑠璃…一度だけ…一度だけだ。」
春日局様の冷たい唇が私の唇に触れた。
身体を繋げたことはあるけど
口付けは初めて…
優しい…蕩けるくらい優しい口付け…
そこに春日局様の心の中を
初めて見た気がした。
「もうこれは手解きでは無い…
貴女は手解きなど無くとも
自分の倖せを自分で見つけられる
立派な女性になったのだな…
迷いが抜けたような目をしている。」
「春日局様…っ」
何だか涙が出そうだ…
「…勝手に触れてしまい悪かったな。
…好いた男と…息災で暮らせ。」
「…っ!
今までありがとうございました…」