第15章 最終章〜sweet&sweet1〜
「…貴女は
そのようなことを考えていたのか。」
春日局は驚いていた。
初めは信じがたかったが、
今では自分でも認めざるを得ないほど
大きくなった瑠璃への想い。
その想いは、瑠璃を前にすると
今にも溢れ出しそうで…
気取られないようにと必死だったが、
それは全くと言っていいほど
伝わっていなかったのだ。
春日局は自嘲気味に笑うとつぶやいた。
「…かくとだに
えやはいぶきの さしも草
さしも知らじな 燃ゆる思ひを…」
春日局様には多くの教養を
授けていただいた。
でも和歌の類は私は苦手で
いつも迷惑掛けて…
えっと…この歌の意味は…
考えるよりも前に
私は春日局様の大きな胸に
抱きすくめられていた。
え?えっと…あのお歌は…
口には出せない、愛しい女性への
燃えるような想いを歌った…
春日局様…?