第3章 春日局
「上様のお成〜り〜」
数え切れないほどの殿方の前を、
上様らしく胸を張って歩く。
今までは、影武者である私はお鈴廊下を
歩くだけで良かったのだけど…
これからはこの中から夜伽の相手を
指名していかなければならないんだ。
自ら選んで…
そんなことを考えていると、
瑠璃の下腹部はズキンと甘く痺れた。
僅かに上気した顔で戸惑う瑠璃の
横顔は今までに無い色気があって…
部屋の隅に控える火影は、
胸が潰れる様な気持ちで
じっと見つめていた。
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そして、一日の公務を終えた瑠璃は
春日局の部屋の前に立っていた。
あぁ、どうしよう…
不安でいっぱいになり、
廊下に控える火影を目で追うと
大丈夫、近くにいるからね、
とでも言うように頷いてくれるのだった