第3章 春日局
春日局の部屋に入り、
緊張した面持ちで
向かい合って座る瑠璃。
「あの…よろしくお願い致します…」
生真面目に挨拶する瑠璃に
春日局は苦笑する。
「貴女は…私が昨夜のことを
知らないとでも思っているのか?」
「え…⁉︎」
「まぁ良い…〝上様〟は基本的な
閨ごとはすでにご存知のようだ…
更なることを覚えていただくとしよう。
今宵は私にとって思っていたよりも
楽しい夜になりそうだ…」
春日局の眼鏡がキラリと光る。
「そ、そんな…」
瑠璃はゴクリと息を飲んだ。
…しばらくすると、春日局の部屋からは
瑠璃のすすり泣くような艶かしい声が
部屋の外にまで漏れ聞こえるように
なっていた。