第3章 春日局
結局、少しまどろんだだけで
朝が来てしまった…
火影はどうしてるかな。
いつものように稲葉に手伝って
もらいながら支度を整える。
いつも私のお世話をしてくれている
稲葉はもしかしたら全て
知ってるのかもしれないけど…
何も言わないでいてくれる
優しさが嬉しかった。
火影は時間通りに迎えに来てくれた。
ここから先はもう
誰に見られているかわからない。
「火影、おはよう…」
「上様、おはようございます…」
ほんの少し前までひとつに
混ざり合っていた二人の吐息も、
今は別々に密かなため息をつくだけだ。
総触れへと向かいながら、
火影の広い背中をそっと窺う。
さっきまであんなに優しく
触れてくれていたのに何だか寂しいな。
火影に触れたい…
こんなこと思うのってふしだらだよね。
閨のことを知ると、みんなこんなに
変わってしまうものなのかな?
それとも私がおかしいのかな…