第10章 夏津
瑠璃の話を一通り聞いた後
春日局は瑠璃を下がらせると
火影と麻兎からの報告も受けた。
二人とも、朝廷の汚点とも言うべき
このような事件が起きた以上
水尾の性格からして、瑠璃にはもう干渉
しないのではという意見を述べたが…
「ぬるいっ!!
水尾様は瑠璃にかなり御執心のはずだ。
万全の手を打たねば…」
冷静さを欠いた様子の春日局を
置いて、二人も部屋を後にした。
「…春日局様
少し見ない間に変わったね。」
火影は最後に耳にした
春日局と瑠璃の情事を思い出していた。
執着しておられるのは
春日局様じゃないのか…
「それを言うなら俺も前とは違うぞ…
火影、今更何をしに戻って来た?
お前は瑠璃を護ることを放棄したんだ。
だけど俺は…
何があっても瑠璃の側でアイツを護る。
お前には出来なかったことだ。」
挑むような麻兎の瞳は真剣そのもので。
麻兎…そうか、お前も瑠璃様を…