第9章 火影【ニ】
「………瑠璃様、着いたよ。」
「え…?」
見たところ辺りは木々に囲まれている
森の中の泉のようだ。
目的地は火影が知るどこかの建物だと
思っていた瑠璃は驚いた。
「!…綺麗…」
景色のあまりの見事さに
落ち込んでいることも一瞬忘れ
瑠璃は感嘆の声を漏らした。
その様子を見て
瑠璃の様子をずっと気にしていた火影も
ホッとした表情になる。
「でしょ?隣には温泉も出てるんだよ。
俺の秘密の場所なんだ。
江戸から遠いのに…
瑠璃様と一緒に来られると思って
なかったから嬉しいよ。」
前と変わらない人懐っこい優しい笑顔。
瑠璃はまた胸が苦しくなった。