第1章 だれもしらない
クラスメイト曰く、どうやら私の好きな「きれいなもの」と、友達の好きな「きれいなもの」には、ソフトボール3個ぶん位のズレがある。
ソフトボール3個分、っていう部分が、時によってななめ右上45度とか、その都度色々言い換えられたけど、
私の言ってる「きれいなもの」と、いつも友達の「きれいなもの」とは、決定的な何かが食い違っているらしかった。
猫のかぎしっぽの曲がり具合だとか、枝毛を裂いた時のあのくるんとした丸まりとかは、友達の「きれい」の範疇には入っていないみたいだ。
この前もそんな事を言われて、なんだかちょっと納得いかなかったから、とっておきのものを友達に教えてみたんだけど、結局誰にも見えずじまいで終わってしまった。残念。
それ以来、私の何がずれてるのか把握するため、休み時間にいろんな人を観察してもいるのだけど、かれこれ結構な長さ観察しても、未だに答えが掴めていなかったりする。