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だれもしらない
第1章 だれもしらない
例えばそれは、片方の眼球を指で少し押しながら見る景色のズレだとか、画数の多い漢字で表された典雅な名前だとか。
お札に描かれた、ころんとデフォルメされた花の図柄とか(お札って意外とカラフルなんだよ、知ってた?)。
暇なときは、高層ビルの窓ガラスに映った景色に、頭の中で真っ赤な金魚を泳がせて、一人なけなしの涼を取ってみたり。
そうそう、魚もだけど、両生類の顔は、毒気がなくて可愛い。
あれ、何の話をしていたっけ。
そうだ、好きなものについてだった。
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