第1章 Happy Birthday to You!!
時計を見ると9時を少し過ぎていた。
「日付が変わると同時に祝って欲しいから泊まりに行く!」って言ってたのは陽子なのに、遅刻しちゃうところが陽子らしい。
今頃陽子もわくわくしているんだろうか?少なからず僕は陽子と会えると思うとわくわくする。
早くぎゅっと抱きしめて、柔らかい髪をすりすり撫でたいなぁ。
キスして、キスして、キスして、キスしまくってやろう。
それで「下の口も大洪水ですかー?」とか言って照れさせて、そのままベッドに・・・。
・・・止めよう。今日はおじさん禁止。
年に1回の誕生日だ。僕は紳士に、陽子はお姫様でいさせてあげないと。
たまには相手の存在を幸せに感じながら、抱きしめてゆっくり寝るだけ、なんてのもいいよね。
ピンポーン。
「来たっ!」
玄関のチャイムが鳴って扉を開けると、そこには笑顔の陽子姫。
「こんばんはー!」
「いらっしゃい。」
夜でもよっぽど暑かったのか少し汗ばんでいる陽子を、エアコンが効いて涼しい屋内に入れて上げる。
「今日はお祝いされに来ましたー!」
開けっぴろげにそんな事を言い放つ陽子に苦笑。
「お姫様をお祝いするためにいろいろ準備しておきました。」
「おっ!偉い!」
あははっと笑って、サンダルを脱ぐ陽子。
その手には着替えなど入ってるだろう大きめの鞄と、コンビニのビニール袋。