• テキストサイズ

枡屋 〜艶が〜るの向こう側〜

第14章 私の彼は 【高杉晋作】




高杉晋作視点
__________



藍屋に行って、艶子に会いに行こうと思った。


風邪が治ったことを報告しようかと思ってな。


艶子に看病してもらうのは悪くない。


折角藍屋に行ったが、使いで艶子はいなかった。


俺が泊まっていた宿付近の小間物屋にいると聞いて、そちらに足を向けていた。


…大体、暑い中使いに出す藍屋をどうかと思う。


艶子の白い肌が焼けたらどうするんだ。


あいつのことだから、傘をささずに行ったらしい。



そんなことを考えていると、小間物屋からそう離れてない距離の道を、艶子が歩いているのが目に入る。


艶子もこちらに気づき、少し微笑んでくる。


俺は迷わず艶子の方へ足を運び、礼を言おうと思った。


だが、少しの異変に気づく。


艶子の顔は真っ赤に紅潮し、覚束ない足取り。


おまけに虚ろな目をしている気がするのは気の所為だろうか…


「よう、艶子。この間はすまなかった」


俺は艶子の目の前に立つと、いつも通りに不敵な笑みを浮かべて接してみる。


その瞬間艶子の体がふらつき、倒れそうになる。


この出来事にとても慌てて、らしくもなく驚いたけれど、何よりも先に艶子の腕を引っ張り倒れるのを防いだ。


俺は支えていた艶子の膝裏に手をいれ、抱き上げる。

(俗に言うお姫様抱っこ…♡ By梅)


艶子の体はとても軽かった。


今まで女は星の数ほど抱いてきたが…


抱き上げることなど一度もなかった。


艶子の赤く火照った顔を指で優しくなぞる。


俺は宿へ向かった。


/ 57ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp