第11章 夏祭りと 【坂本龍馬】
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「…龍馬さん、どこ行っちゃったんだろう…」
あれから数日、私たちはお祭りに来ていたんだけど。
人の数が多すぎて、龍馬さんを見失ってしまった。
お祭りのどんちゃん騒ぎが虚しく感じる。
雲行きも怪しくなってきたし、探し歩いているうちにさらに不安になってきた。
そんなとき、ひとつの不安が過る。
……まさか、捕縛されていないだろうか。
だとしたら…きっと私のせいだ。
手が震えてくる。
どうしよう、もしかしたら龍馬さんが…
そのとき、ふいに肩に手が置かれる。
その瞬間私の顔はパッと晴れる。
「龍馬さっ……」
だけど、振り向いたら見知らぬ人だった。
「ほう、嬢ちゃん上玉じゃねえか。ひとりだろう?俺と一緒に祭りを楽しもうぜ?」
下品な笑いを浮かべる男に、ゾッと悪寒がはしる。
「…や、やめてください、失礼します」
そういって立ち去ろうとしても、男に手を掴まれたために動けない。
(龍馬さんっ……)
「手を離してもらえないか?」
聞き慣れた、待ちわびていた声が頭上から降ってきた。