• テキストサイズ

枡屋 〜艶が〜るの向こう側〜

第6章 夏祭りと 【土方歳三】





「明日は祭りやさかい。たまには遊んでくるのもええと思いますえ」



秋斉さんのこの一言で、私を含めた置屋の子達は嬉しそうな声をあげた。


「わあ!お祭りだって!」


わたしは隣にいる花里ちゃんに声を掛けた。


「久々やなあ!秋斉はん、珍しいこと言うてはるな…明日雨でも降るんとちゃう?」


花里ちゃんは悪戯っ子のような顔をして、くすくすと笑った。


「ふふっ、そうだね。どんな屋台が出るのかな?」


「わて、名代で座敷に出た時にな、旦那はんに『願いが叶うもの』を売ってる屋台出るって聞いたんや!」


「『願いが叶うもの』?」


「そうみたいなんや。気になっとるんやけど、明日行こうかと思うて!」


私は、満足そうに微笑む花里ちゃんを横目に、土方さんのことが頭に浮かんでいた。


(願いが叶う、か…土方さん、連れて行ってあげたいな)


____________




こうしたことがあって、わたしは土方さんを夏祭りに誘ったのだけど…


頑なに断られると、流石に傷つく。


目から零れそうになった涙を無理やり引っ込めて、鼻を啜った。


/ 57ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp