第7章 幸せ者に不安
「なんで、そっちに行っちゃうかなー。
あたしは、櫻井さんと繋がってないし、どこにも行かないよ?
それに、和くんは器の小さい人なんかじゃないよ」
あたしが和くんの顔を覗きこむと、和くんはなんで?とでも言いたげの表情で目を合わせた。
「和くんは、器の小さな男じゃない。
もし、言いたい事ある時は言ってもいいの。全部、受け止めるから」
あたしがそう言うと、和くんにゆっくり笑顔が戻った。
「…ありがとう。なんかさ、のこと少しでも、疑ってしまった自分が情けねぇな」
「そんなことないよ?和くんは和くん。
あたしも、和くんに信じてもらえるように努力する」
「ん、は今のままでいいの。俺が頑張らなくちゃいけない。にもっと愛されるように」
と、自分で言って一人で照れる和くんを見て、あたしもなんか恥ずかしくなってきた。
「あたしは、どんな和くんも好きだよ」
和くんのスタジオ入りする直前にそう言うと、集中できなくなるだろーって怒られちゃったけど、行く時に『少しだけ待ってて』と、ちゅうしてくれた。
どんな和くんも好きだよ、なんて言ったけど本当はいつも不安でいっぱい。
だって和くんは、今をときめくトップアイドルで、ハリウッドでも活躍した国民的大スターだよ?
そんな人を支えていける自信もなければ、和くんの隣にあたしが立ってていいのかも分かんない。
前に、櫻井さんが“好きって気持ちがあれば、それだけで隣に立つ立派な理由になる″って言ってくれた。
けど、そんなの和くん達の世界で通じるかなんて、誰も分かんない。
もちろん、どんな和くんも好きっていうのは嘘じゃないし、どんな和くんも受け止めるつもりだよ?
でもね、時々……というかいつも、雑誌とかテレビとか、こうして実際に仕事してる和くんを見てると、なんか言葉に表せない切なさ?みたいなのがこみ上げてくるんだ。
切なさって言うか、んー、何て言えばいいかな…。
なんか、やっぱ別世界の人なんだなって感じさせられるんだよね。
コンサートの時とか、特におもうなぁ。