第6章 番外編 TABOO ❊櫻井翔❊
まるで静止画だ。
「…………櫻井さん…?」
先に沈黙を破ったのは、ちゃんの方だった。
「…櫻井さん、ほんとにどうしたんですか?」
「ちょっと待ってね」
俺は深呼吸した。
そんな俺を見てちゃんは、ふふと笑った。
「櫻井さんらしくないですね笑」
ちゃんに指摘され、少し恥ずかしくなって深呼吸した意味がなくなった。
「……俺がらしくない理由は……
好きな人が目の前にいるから。」
「…………えっ?」
ここは嵐の楽屋。
俺とちゃんしかいないから、俺の目の前にいるのは当然、ちゃんだけ。
それは、いくら天然なちゃんでも気付いたみたい。
ちゃんは、規則正しいまばたきを繰り返している。
「…俺さ、本当はニノとちゃんが付き合う前に告白しようと思ってた。
付き合ったって聞いた時も、その勢いで諦めようとしたけど無理だった。」
ちゃんは、表情一つ変えずに聞いてた。
「ちゃんが、好きだよ」
俺が言い終わった後、返答に困ったのかちゃんは俯いてしまった。
…まぁそうなるか。
でも、さすがに何も答えてくれないので、だんだんと気まずくなってきた。
すると、次の瞬間俺は、自分でも驚く程とんでもないことをした。
「…………っ櫻井さん…」
ちゃんは、驚きを隠せないといった表情で俺を見上げてる。
「………俺、本気なんだ」
「……うん…」
「俺、ずっと待ってるつもりだから」
「……うん、あの、櫻井さん、」
「今のこと、ニノには内緒にして欲しい」
ちゃんの言葉を無視して、そう言うと収録に向かった。
ちゃんにキスした時、俺の中で何かが溢れだしたんだと思う。
こんなにも自分にとって、ちゃんが大きな存在だとは思わなかった。