第5章 初めて信じた赤い糸
違う違う!!
あたしが好きなのは神楽くんでも、リュウくんでもないやろ!
目の前にいる、二宮さんだって。
あたしは、取り敢えず深呼吸した。
そして、目をギュッと瞑って意を決したその時。
「…なぁちゃん」
さっきよりちょっと低い声と真っ直ぐ見つめる瞳に、心臓がはねる。
「…神楽とかリュウとか、演技してる俺じゃなくて、今ここにいる俺を好きになってよ」
「……えっ……」
コレって……
「ちゃんが好きなんです」
先に言われた…。
じゃなくて!!!!!!!!
「…あたしも、二宮さんが、好きです」
想いを伝えるのに、心の準備なんていらなかったみたい。
気付けばそう返事してた。
「ん?聞こえないなあ?」
「っ///…すきなのっ!二宮さんがっ……」
強引に抱き寄せられ、でも重なった唇は優しく甘かった。
好き
たった一言で、人は幸せになれるんだね。
今まで、そんな経験がなかったからすごく素敵なことだと思う。
赤い糸とか、運命とか何ソレって思ってたけど、今それが何なのか分かった気がした。
「じ、実は、あたし1回見たんですよ。試写会で」
帰りの車の中。
「だから、あんなにゴリ押ししてたのね笑笑」
「…はい笑」
「てかさ、目ぇ合ったよね?」
あ…………気づいてましたか…。
「…気付いてないことを願ってたんですけど…」
そう呟くと、ふふ、と笑う二宮さん。
「そりゃ気づくわ。てか、俺は最初からちゃんしか見えてなかったけどな」
「/////」
今、ボッと音を立てて顔から火が出ました。
「なに照れてんの笑」
「…二宮和也なんかキライです」
「あ、どの口がそんなこと言うんですかね?ほら、本当のこと言ってごらん?」
うぅー。
二宮さんに、ほっぺたつままれてます、今。
絶対、言うもんか。
「……しゅきです(好きです)」
言ったそばから、あたしの照れ隠しのため重なった唇。
「…俺もすきだよ、」
…キャーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
よ、呼び捨てっっ!!!!!!!
だめだ。
この人といると、心臓何個あっても足りないよ。