第5章 初めて信じた赤い糸
恥ずかしくなって俯くと、二宮さんに名前を呼ばれた。
顔を上げるのと同時に、二宮さんのどアップ。
「…な、に、二宮さん?」
「…………どこに行けばいいの?」
「…えっ?」
「今日のプラン、俺知らないから」
あたしの心なんぞ、露知らずあっけらかんとそう言う二宮さん。
「ぁ…お腹空いてますか?」
「あー、俺今日、楽屋にあったハイチュウしか食べてないからなー」
は、は、ハイチュウ…。
まじですか、二宮さん…。
ハイチュウなんて、ここ何年随分ご無沙汰ですけど……。
だって、あたしの食べるお菓子なんて、さきいか、あたりめ、あとは…カリカリ梅とか……。
もはや、おつまみですね、はい。
に対して、ハイチュウ、だなんて。
何なんでしょう、この差は(´ω`)トホホ…
「それなら、まずは腹拵えですね?こないだの、飲み会のお店、予約したんでそのお店までお願いします」
「わかった。あの店、気に入ったの?笑」
「あ…あのお店の料理が美味しくて……」
そんなね?
あそこにあった試食のさきいかが、ものっそい美味しかったんだなんて言えるわけない。
あぁ、どこで道間違えたかな?
やっぱりね、こうして見ると運転してる二宮さんの横顔は、すごく魅力的です。
特に嵐さんの話をされてる二宮さんの横顔が、心臓発作起こしそうなくらい、ドキドキした。
無意識に二宮さんのことを見過ぎて、たまに目があった時、なんだよ、と笑う二宮さんに危うく
『好き』と言ってしまいそうになった。
ここで言ってしまったら、全てが台無しになる。
今はまだガマンガマン。
そう心に言い聞かせて、なんとかお店まで耐えた。
お店に着くと、まるで二宮さんが誘ったかのようにエスコートしていく。
……こーゆーとこに、惚れちゃうんだってば…。
「二宮さん?」
「ん?」
「二宮さんて、色々な役柄されてますよね」
「…え?どした急に笑」
あたし………実はね、プラチナデータ、1回見たんだよね。
いや、試写会のさ、応募したわけですよ。
もちろん、当たらないと思ってたのに、見事当選しちゃったわけですよ。
それも、最前列。
多分、二宮さん、気づいたと思うけども、気付いてないことを願う……。