第4章 見えない告白
「ホント、五十嵐くんって期待裏切らないよね」
あたしが言うと、五十嵐くんは少し照れ笑いを浮かべた。
「お前こそ褒め上手だよな。」
まじまじと五十嵐くんに言われ、なんか照れくさくて再び文字を打ち始めた。
「……つか、俺なんかすることある?」
「あっ……じゃあ、今から印刷するからそれを人数分ホッチキスでとめてくれる?」
「りょ。あ、ホッチキス持って……」
あたしはそう言われるだろうと思って、ホッチキスを差し出した。
「サンキュ。気が利くよなー、林は」
「お褒めの言葉、ありがとうございます笑」
五十嵐くんは、あたしからホッチキスを受けとると異常な速さで、2枚ずつをまとめていく。
しばらくの間、あたしのキーボードを打つ音と五十嵐くんのホッチキスの音だけが響いていた。
「……つかさ、」
「うん?」
「林って……好きな奴とかいんの?」
「な、なんで急に?」
「いや、気になったからさ。…いんの?」
「好きな人……かー」
また、二宮さんの顔がよぎった。
[ちゃんは、そんなに俺といるのが嫌なのか?]
[今日さ?ちゃん家、泊めてくれない?]
[早くちゃんの顔が見たかったんだ]
[そんな照れた顔、俺以外の男に見せんなよ?]
二宮さんに言われたことが一気に蘇ってきた。
初めて会った日、二宮さんにキスされてホントコイツあり得ないって思った。
でも。
“言っておくけどね?ニノは、興味のない人にはそんなこと絶対しないから"
キスされたこと、メンバーで唯一相葉さんにだけ打ち明けた時に言われた一言。
お姉ちゃんにも、似たようなこと言われたけど。
それは分かるんだけど……。
「……すき、なのかな……」
「えっ?」
「あっいや、……わかんない。ひみつってことで。
五十嵐くんは?いないの?」
「俺は……俺もヒミツってことで」
そう言って五十嵐くんは、ニコッと微笑んだ。
「えーでも五十嵐級だったら、彼女とかいそうなのになー」
「ははは、なんだよ五十嵐級って笑笑
お前、意外にネーミングセンスねぇよな笑笑」
「またまたぁそんな言って、隠さなくていいのに」
「隠してねぇし、お前だって秘密なんだろ?」
五十嵐くんは笑いながら言う。