第4章 見えない告白
ルンルン気分で帰る支度をしていると。
「林ーあのさっ!」
後ろから一人の男子があたしの名前を呼ぶ。
「ん?なに?」
……その持ってる資料……。
嫌な予感がするね。
「こ、この資料まとめててくんね?俺、今日用事があって、さ……」
はい、お疲れちゃん。
「ぁー……いいよ。どうせ、暇だし」
「まじ?!いいの?」
「用事あるんでしょ?」
「ぁ、まぁ…そう、なんだけどさ……」
あからさまに動揺してるんですけど。
「いいよ、やっとく。」
「まじサンキュ!今度なんか、奢るから!」
「ぁ、ありがとう笑笑」
黒崎くんはどこそこにぶつかりまくりながら、教室を出ていった。
用事があるなんて、ありきたりな嘘でしょ笑笑
でも、別に気にしないので気付かないフリ。
あたしに頼んだ理由が分からんけど……。
てか、早くまとめて帰っちゃおっと。
あたしは情報処理室に向かい、資料をまとめ始めた。
「第42回校内文化祭の……しゅっ……ぴと」
うちの高校の文化祭って結構大掛かりで、外部からのお客さんが多いんだよね。
だからその分、準備するものも多ければ出費がもんのすごい。
なんだこの数。
0何個ついてると思ってんの。
と、そんなとき。
「林?なにしてんの?」
「わあっ!……五十嵐くん、もう驚かさないでよ」
「お前が勝手に驚いたんだろ?笑笑
俺は話しかけただけだし」
「そ、そうだけど……」
あたしが言うと、五十嵐くんはふっと鼻で笑った。
「つーか何やってんの?
文化祭の?」
五十嵐くんはパソコンの裏から画面を覗き込む。
「そう。黒崎くんに頼まれて……」
「がち?……アイツ、やるな」
「……ん??」
「あ、いや、なんでもねぇ。
それより、俺なんか手伝うよ。」
五十嵐くんは、言葉を濁しながらさりげなくあたしのとなりに座った。
「部活は?」
「顧問が途中から出張だからっつって、さっき終わった。だからっつって今帰っても暇だしー」
「テスト勉強があるでしょ笑笑」
「うへー、俺勉強きらい。サッカーだけが、命!」
五十嵐くんは爽やかに笑う。
「そうでしたね笑
でも、五十嵐くんたちこの前の大会で優勝したよね!しかも、五十嵐くんのシュートで!」
「あぁ、あれはまぐれだけどな笑笑」
そんな謙遜しなくても笑