第3章 ~二宮side~
ここで負けたらアイツになんて言われるか、分かったもんじゃないわ。
どうにか、承諾してくれたけども。
……ちゃん、俺に素っ気なくない?
「今日さ?ちゃん家……泊めてくれない?」
咄嗟に出た一言。
ちゃんは、びっくりしてる。
当たり前だ。
こればかりは、承諾もらえるとは思ってなかった。
「……ぁ、あのっ!
それは、ちょっと……」
あれあれ?
さーっきまでの強気なちゃんは、何処に行ったのかな?
……。
俺の中の悪魔スイッチが入った瞬間だった。
「お礼、してくれるんでしょ?」
今の俺は、最大級にSだ。
「そ、それとこれとは別の話です!」
おーおー。
いいねぇ♪
俺にはまだまだ奥の手があるんだよ?
ちゃんが言い返すと、俺も次の手を打つの繰り返し。
……いやいや、もうね、こうなってくると、俺たち何やってんのってなるわけ笑笑
ちゃんの性格から言って、俺のいうこと全てに心の中で理屈でツッコんでるのは、バレバレなのね?
でも、悪魔化した俺には理屈なんて関係ありませぬ笑
自分から仕掛けたんだから、徹底的にやらなきゃ。
すると、ちゃんが黙った。
そして、ぎゅううっと目を瞑ったかと思ったら、その状態のまま“今日だけですから!"と、言った。
一瞬耳を疑った。
気づけばちゃんはもう家のなかに入っていた。
本当にOKもらえると思わなかった俺は、玄関に立ち尽くしたままで。
「……に、二宮さん?」
ちゃんの呼び掛けでやっと我に返った。
想定外だったことを悟られないように、俺は精一杯に悪魔を演じる。
ちゃん家に入れもらえたのはいいが、何していいか分からない!
だから、とりあえずリビングのソファに腰かけた。
すると、急に眠気が襲ってきた。
それに気づいてくれたちゃんが、寝室まで案内してくれた。
……。
酒飲みすぎたかな……。
なんか、クラクラする。
「ちゃんは何処で寝るの?」
「ぁ、あたしはリビングで寝ますよ。だから、二宮さんこのベッド使ってください。」
……とことん優しいよね、ちゃん。
あーぁ、もうだめだな。