第1章 本編
君が死んだのは、もう1年も前の事だ…
あの日俺は誓ったんだ。
天国にいる君に…
"俺は負けるわけにはいかない!"
──天使の微笑み──
『ゲームセット!ウォンバイ不動峰 橘 6-0』
「ワリーな。15分で終わっちまった」
あの日俺は初めて約束を破った。
「…くそっ!」
俺は自分の無力さに気づかされた。あの時もそうだった。
『ゲームセット!ウォンバイ 不二子 6-3』
「ありがとうございました」
「・・・・・・・ちっ」
「あは♪何回目だっけ?亮が負けるのw」
峰はクスクスと笑っている。そして、いつも俺より上をいく。
「お前、本当に女かよ…ι」
「男に見える?」
「…はぁι」
俺は深いため息をついた。何故だか、峰には1度も勝った事がない。
「今日はね~駅前のパフェね☆」
「また奢るのかよ!」
「うん!早く早く~行くよ!」
峰はテニスウエアのまま、走り出す。
「って!荷物くらい持て!」
「あれ?忘れちゃった~メンゴメンゴ!」
峰は可愛く笑いながら、荷物を取りに戻って来た。
「ったく…ほらよ」
「サンキュー☆ほら行くよ~」
俺は手を引っ張られた。相変わらず、峰の体力には底がない。
「今日はイチゴのパフェね~♪」
峰は満面の笑みで店まで引っ張って行った。
───チリンチリン
『いらっしゃいませ』
「はぁ…はぁ…」
「もう、体力ないなぁ!そんなんじゃ正レギュラー何か、なれないよ?あ、スイマセーン!イチゴパフェ1つ!」
「だぁー!水だ水!それとチーズサンドだ!」
『(ビクッ!)は、はい!イチゴパフェとチーズサンドですね。少々お待ち下さい』
店員は、逃げるようにその場を離れた。
「店員さん、怯えてたよ?亮は、もうちょっと気をつけなよ」
「うるせー。誰のせいで…」
『ぁ、あの…お水…です』
「ありがとよ」
俺は一気に飲み干した。峰は俺を見つめている。
「?…何だよ?」
「亮って面白いね♪」
「あぁ?」
「ううん!何でもない☆あ!次負けたら、ジャンボパフェだからね♪」
峰は頬杖をつきながら笑っている。