第3章 転校生
私は仕方がなく下を向いたまま、強い視線を感じながら、彼の席に向かった。
席につくときも加は挙げなかったけど、視線の片隅で相手が姿勢を変えるのが見えた。椅子の端ぎりぎりに座って私と反対側に体を傾けながら、鼻と口を抑え、顔をそむけてる。
(ベラと違って、私のにおいはお気に召さないのかしら?でも、これで原作にあまりかかわらなくて済むかも・・・)
しかしやっぱり気になって、こっそり自分の髪をかいでみた。桜のにおいがする。自分で作ったにおい袋のにおいだ。許容範囲内のにおいだと思うけど。
(こっちの人は桜のにおいダメなのかな?)
私は髪を右肩にたらして、先生の話に意識を集中させようとした。しかし残念なことに授業の内容は日本で習ったところだった。でも、私は下を向いたまま、まじめにノートをとった。