第3章 再会
ーー 安土・織田信長の屋敷
サブロー「3月って言ってもまだまだ肌寒いね〜」
帰蝶「ええ…ですがこの寒い中でもお茶々達は元気ですね」
サブロー「まあ、母親がアレだからね〜…」
そう言う織田信長ことサブローの視線の先には、庭を走り回る姪っ子と岩陰にいる蛇を捕まえようとする妹の姿。
…昨年の長篠・設楽ヶ原での戦から10ヶ月が経った天正4年、3月。
激しい戦を終え骨を休めていたサブローは、今年1月から築城中の安土城への移住の為先月の2月、岐阜城からこの安土の仮屋敷へ引っ越していた。
帰蝶「お市殿は小さい頃から活発な女子でしたものね…」
サブローに寄り添い、我が子の成長を見守る母親の様に暖かい目でお市を見つめる帰蝶。
サブロー「ほんと、おいっちゃんは昔と全然変わんないね〜。ブラコンも全然変わんないしね〜」
帰蝶「ぶらこん…とは、殿が以前おっしゃっていた兄が好きで堪らぬ人の事ですか…?ふふ、ならそれは仕方ありませんよ。お市殿は殿が大好きなのですから♪」
サブロー「う〜ん…。ま、好かれてんのは良い事なんだろうけどさ…(そ〜いえば俺も昔は結構ブラコンだったな〜。いや、あの人アレでも一応女だからシスコンになるのかな?)」
ポリポリと頭を掻きながら昔の事を思い出す。
サブロー(何処行くにもず〜っと後ろひっ付いて回って、中学上がってからもずっと一緒に遊んで風呂もず〜っと一緒に入ってて…。年齢的にシャレになんないけど、正直あの人の事女って思ってなかったしな〜。血は繋がってないけど、本当のお兄ちゃんみたいだったな〜……)
なんとなく空を見上る。
サブロー(うる兄…今頃どうしてんのかな〜……)
帰蝶「殿?」
隣から聞こえた声で帰蝶に視線を戻す。
サブロー「あ、ごめんごめん。ちょっと昔の事思い出してて…」
恒興「殿!」
すると家臣の一人であり、信長の一番の側近である池田恒興が慌てた様子で此方へ走ってきた。
サブロー「ん?どーしたの?」
恒興「申し上げます!森へ熊退治に出向いた者達が戻って参りました!!ですが…熊の退治は無事終えたようですが、何やら怪しい者を捕らえてきたようで、殿にご報告をと……」