第14章 『必ず還すから』
エルヴィン「…それでもだめだ」
・・元よりそんな条件を呑まずとも君はここに残るしかないんだ。
天姫「なら、この国を吹き飛ばす事になりますね」
・・・最後のカードを切るか
その一言でエルヴィンさんの空気が変わった。
エルヴィン「それは 君がこの国に刃を向けるということか」
・・そう来るか
天姫「別に刃を向ける訳ではないですよ。
ただのリバウンドです。
時空間を移動するには膨大なエネルギーが必要です。そしてそれを無駄なく使うには移動に使用したポイントを使って戻るのが1番。
しかし、別の場所で出来ないというわけでもありません。
そうすると、力を余分に使うことになるのと、移動の際の座標点がズレることで力のかけたところに歪ができます。
すると、その力が外に漏れ 周囲の物を蹴散らしますよ。
用はリバウンドが大きくなるということです。
この国のウォールローゼになら確実に大穴を空けれます。」
・・・エルヴィンさんがこんな危険性を見逃すわけがない
私の言葉にエルヴィンさんは真偽を確かめるかのように私の顔を見ている。
もちろん、嘘は何一つ言っていない。
エルヴィン「君はそれをやるつもりか」
天姫「許可が得れないなら」
・・・外に出ないでやるしかないから。
表情を変えずに、冷酷にすら見えるように言い放った。
エルヴィン「…」
・・そんなリバウンドがあるのか。
…迂闊なことをすれば国もろとも吹っ飛ばすということか。彼女ならそこまでやるだろうな。
天姫「返事は今直ぐにとは言いません。
明日で構いません。
エルヴィンさんの判断に任せます。」
・・・この条件でエルヴィンさんは断る事ができないだろう。
上の人達は私の力を疑うかもしれないがエルヴィンさんは違う。目の前で私の力を何度も目の当たりにしてるんだ。
疑いたくても疑えない状況…来た時からそうなることは予測できてた。だからこそ あれだけ術を見せたんだから。
エルヴィン「わかった」
・・世界を渡ることを辞めさせる必要があるな。
だが、彼等に本気で逃げられれば取り押さえるのは至難の技…というよりも不可能だ。
…認めるしかないのか。
それを聞いて私は部屋を静かに出て行った。