第4章 過ぎる
「ぎっ…ギルベルトさん!?なぜ泣くんですか…?;」
嬉しいのか、なんなのか。
とにかく感情的な意味の暖かい涙が零れた。
涙をこぼしながら笑う俺をひなは心配そうに見つめた。
「…いや、お前が純粋な奴でよかったなーって思ってよ。
これからもその存在のこと、信じていてくれたら嬉しい」
俺の手は意識的にひなの頭に乗る。
ひなは頭の上に乗っている俺の手を取って頬に添え、肯定の意味を込めて一度深く頷いた。
なんとも言えない顔で俺を見るその目は、油断すれば引き込まれてしまいそうな程に綺麗で。輝いていて。
出来るなら、ずっと、コイツと
「なぁ、ひな」
「なんでしょう?」
「俺はさ、お前の親友第一号…だったよな?」
「はい!そうですよ」
「それ、撤回してさ。お前の彼氏第一号にしてくれねえか?」
あぁ、なんでこんなひねくれた告白なんだか。
言った後に後悔する。
「えっと…あの、……こんなの初めてでなんて言えばいいのか分からないですけど……。勿論です、私もギルベルトさんが好きです」
はにかみながら言う直球のその一言は本当に嬉しくておかしくなってしまいそうだ。
ひなのいつもより崩れた可愛い笑顔を見ていると、俺はなんとも言えなくなって、自分の顔を隠すようにひなを抱きしめた。
本当に嬉しいからこそ、俺は黙り込んでしまう。
鼓動は高鳴り、もう顔も耳も真っ赤。
誰にも見せられるような状態じゃねえ。