第7章 -失恋-(高尾和成)*★
「あの…オレ、篠崎さんのこと、
好きでしたっ‼︎」
「えっ⁈わたし⁈」
篠崎さんは元々大きな瞳を
さらに見開いていた。
「ハハッ。
やっぱ気づいてなかったんすね。
オレ、けっこう好き好きオーラ
出してたのに…(笑)」
「えっ⁈あ…ごめんね。
わたし…だと思わなくて…。」
篠崎さんはテンパっていたが、
ふと何かを思ったようにオレを見た。
「ふふ…。でも、その顔は
何か気づいた顔なんじゃない?
それに…わたし、ずっと、
高尾くんの好きなコは、
別のコだと思ってたけどな♪」
「ははっ。
篠崎さんにはかなわないっすね。」
オレの本当の気持ちには
気づいてたってことか。
「あの2人、さっき境内のほうで見たよ?」
「でも…真ちゃん…」
オレは自分の気持ちを
早く伝えたかったが、
真ちゃんのことだけが気になっていた。
「緑間くん?」
「真ちゃんも…くるみちゃんのこと…」
「えっ⁈緑間くんが…?
あはは…。違う違う‼︎
やっぱ緑間くんの言う通り、
高尾くんのホークアイ、
怪しくなってきてるよ?」
篠崎さんはおかしそうに笑っていた。
「へっ⁈」
「今日の夏祭り…
緑間くんが計画してくれたんだよ?」
「え⁈真ちゃんが…?」
「うん。
高尾くんとくるみがおかしいって。
わたしと清志に相談してきたの。
あ、このこと内緒ね♪」
真ちゃん…なんで…?
「高尾くんの気持ちに
気づかなかったわたしが言っても
説得力ないかもしれないけど…
緑間くんはくるみのこと、
友だちとしか見てないと思うよ?」
篠崎さんがニッコリして言った。
やっぱり可愛い。
ちょっと前までなら、
オレはこの笑顔にやられてたな…。
「はい!オレ…行ってきます!
あ、デートの邪魔して
すみませんでしたっ!」
「明日、パイナップル避けるの
頑張ってね〜♪」
げ⁈パイナップル……。
ま、そんなのいーや。
全部避けてやる!
ホークアイが怪しいなんて、
もう誰にも言わせねーかんな。