第7章 -失恋-(高尾和成)*★
次の日からくるみちゃんは
バスケ部の体育館に来なくなった。
約束していたわけではない。
でも、夏休みに入ってから、
毎日部活帰りは3人で帰ってたし、
オレは心にポッカリ穴が開いたような
変な気持ちだった。
「美山に何をしたのだよ?」
くるみちゃんが来なくなって1週間、
自主練の休憩中に珍しく真ちゃんから
話しかけてきた。
「別になにもしてねーよ。」
でも、オレはおおまかにだけど、
2人で帰った時のことを話した。
「はぁ。美山の言う通りなのだよ。」
一通り話すと真ちゃんは
ため息をつきながら言った。
「なにがだよ?」
「お前のホークアイなのだよ。
それしか見えていないようじゃ
この先試合でも心配なのだよ。」
「は⁈それどういう意味だよ⁈」
なんでくるみちゃんの話してるのに、
ホークアイのこと言われなきゃ
なんねーんだよ⁈
「緑間!高尾!」
オレが真ちゃんに一言言おうとした時、
木村さんが話しかけてきた。
「あ、はい!なんすか?」
「お前ら、明日の夕方から暇か?」
「へ⁈明日っすか?」
明日は久しぶりの部活オフの日だった。
「即答しないトコロを見ると、
2人とも暇だな。
つか、用事あるっつっても、
お前らは絶対参加だ!」
「だから、なんのことっすか?」
「明日、夏祭りあるだろ?
で、女子テニス部と男子バスケ部で
一緒に行くことになった。」
は…⁈それって…。
「宮地さん、怒らないんすか?
オレら絶対邪魔っすよね。」
「あいつらは他の奴らの顔つないだら
どぉせ消えるだろ。」
木村さんは笑顔だけど、
顔が引きつっていて青筋が立っていた。
「ま、そういうわけだ。
あと、浴衣着て来いよ?」
「わかりました。
高尾はオレが連れて行きます。」
…⁈
「…⁈お、おう。頼むぞ。」
木村さんも真ちゃんの反応が意外だったのか、
少し驚いて、そのまま練習に戻っていった。
「真ちゃん!
なに勝手に言ってんだよ?」
「女子テニス部ということは、
おそらく美山も来るのだよ。
ちゃんと話せ。」
そう言うと真ちゃんも練習に戻った。
だから…くるみちゃんに会うのが
気まずいんだって…。