第5章 -彼女-(若松孝輔)
「な…っ⁈オレっすか⁈」
な、なんで急にオレに振るんだよ⁈
「ちょっ…今吉っ⁈はなしてってば…」
さっきまでキョトンとしてたすみれが、
急に慌てて今吉さんから離れた。
「あ〜らら。
彼女にフラれてもうたわ♪」
「もぉ!ふざけすぎだってば!
明日も日誌ちゃんと書いてよね?」
「あ〜覚えとったらなぁ。」
「忘れてたらまたココまで来るもん。
あ、孝ちゃん!」
「…っ?…なんだよ?」
突然呼ばれてハッとした。
「今日、一緒に帰ろ?」
ドキッ…。
だが、すみれの目的はわかっていた。
「…今日は何があるんだよ?」
「さすが孝ちゃん♪
お花のね、道具…持って帰りたいの。
ね?お願いお願いっ♪」
オレはチャリ通で、
すみれは歩きだった。
荷物が多いと
たまにこうやって頼んでくる。
「わかったよ。しょうがねぇな。」
「やったー♪ありがとう!
じゃあ、あとでね。」
すみれは行ってしまった。
「おっ。若松、今吉から略奪か〜?」
諏佐さんがニヤニヤしながら言う。
「えっ⁈いやっ…あの…⁈
そんなんじゃないっす!」
「ワシから略奪やと〜?
えぇ根性しとるな〜若松〜?」
「…って、えっ⁉︎
あの…マジに付き合ってるんスか⁈」
オレはかなり焦った。
「どぉやろな〜?
ワシはその気なんやけどな♪」
「なっ⁉︎えっ⁈おいっ…あ、いや…
今吉さんっ‼︎」
「練習始めよか〜?」
そのままはぐらかされ、
それ以上今吉さんに聞けなかった。