第46章 -大人-(虹村修造)
「と…年上の彼氏が欲しかったんだもん!」
「…⁈…あぁ、そうかよ…」
悲しいような悔しいような、
自分でも説明できない感情のままに
少し怒るように言ってしまうと、
修造くんはそのまま黙ってしまった。
「自分だって…」
「あん?」
「自分だって合コン来てたじゃん。
合コン好きじゃないって言ってたのに…
モテてたし…」
色々問い詰められると
ボロを出してしまいそうで、
わたしは話をそらした。
「あん⁈オレは、林に…
幹事のノリのいい奴いただろ?
あいつに仕事で借りがあったから、
今回は仕方なく…
つぅか、合コンなんか好きじゃねーし、
モテてねーよ。」
はぁ…修造くんて、全然わかってない。
今日は4対4の合コンだったけど、
男性側の幹事の林さんと、
女性側の幹事…
わたしの友達のお姉さん…葵さんは、
付き合ってるから、実質3対3。
葵さんが連れてきた二人は、とても綺麗で、
お手洗いで会った時、
二人とも「今日は当たりだね♡
特に虹村さんがヤバい♡」って言われたもん…
「つぅか、オマエだって、
気合い入ってんじゃねーか。」
「え…?」
話をそらしたはずなのに、
またわたしの話に戻されてしまう。
「顔も髪もいつもとちょっと違う。」
「顔も違うって…なんか、失礼…。」
メイクは、少しでも大人っぽく…と思って、
いつもとちょっと変えたし、
髪も葵さんが少し巻いてくれた。
似合ってなかったかな…
「服だっていつもとちげぇし…」
服も少しでも大人っぽく見せたくて、
淡いピンクのレースのタイトスカートに
サテン生地のノースリーブの黒のトップス。
最近よく見るありがちなカッコだけど、
自分の持ってる服の中で、
なるべく大人っぽく見えそうな服を
選んだつもりだった。
「修造くんはこういうの嫌いなんだ?」
大人っぽく見えるだけじゃダメなのかぁ…
って、修造くんのコトを諦めるために
合コンに行ったのに、
気がつけば、少しでも、修造くんの好みに
近づけないかと考えてしまう自分に
ほどほど呆れてしまう。
「バカ‼︎嫌いとかじゃなくてだなぁ…」
「…?」
「………二の腕見え過ぎ…」
「え?…そりゃ、ノースリーブだし…」